平成14年度、問題回答集1〜10

【No.1】 Aが,Bの欺罔行為によって、A所有の建物をCに売却する契約をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1Aは、Bが欺罔行為をしたことを、Cが知っているときでないと、売買契約の取消しをすることができない。

2 AがCに所有権移転登記を済ませ、CがAに代金を完済した後、詐欺による有効な取消しがなされたときには、登記の抹消と代金の返還は同時履行の関係になる。

3 Aは、詐欺に気が付いていたが、契約に基づき、異議を留めることなく所有権移転登記手続をし、代金を請求していた場合、詐欺による取消しをすることはできない。

4 Cが当該建物を、詐欺について善意のDに転売して所有権移転登記を済ませても、Aは詐欺による取消しをして、Dから建物の返還を求めることができる。



正解 4
1 ○ 意思表示の当事者以外の第三者が欺岡(詐欺)行為を行い、表意者がそれにより意思表示をした場合には、意思表示の
相手方が、詐欺の事実を知っている場合に限り、表意者は当該意思表示を取り消すことができる(民法96条2項)。要するに欺
岡行為を行った第三者と意思表示の相手方がグルだった場合でなければ取消しを認めないのである。

2 ○ 取消しがなされた場合には、契約当事者には原状回復義務が発生する。この場合の両当事者の義務の履行は同時履行の
関係に立つ。

3 ○ 詐欺によって行われた意思表示については、表意者が詐欺の状態を脱した後に追認をすれば、以後取り消すことはでき
なくなる。追認は、その旨を相手方に言葉で告げることに限らず、取消権者が、取り消すことができる行為によって発生した
権利を相手方に請求したり、自ら進んで義務を履行した場合には法定追認となり、以後、取り消すことはできなくなる。

4 × 第三者の詐欺による取消しも、相手方の詐欺の場合と同様に、善意の第三者には対抗できない(民法96条3項)。



【No.2】 Aが、Bの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Bは、Aに対してCとの間の売買契約を委任したが、Aが、DをCと勘違いした要素の錯誤によってDとの間で契約した場合、Aに重過失がなければ、この契約は無効である。

2 Bが、AにB所有土地を担保として、借金をすることしか頼んでいない場合、CがAに土地売却の代理権があると信じ、それに正当の理由があっても、BC間に売買契約は成立しない。

3 Bは未成年者であっても、Aが成年に達した者であれば、Bの法定代理人の同意又は許可を得ることなく、Aに売買の代理権を与えて、Cとの間で土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。

4 AがBに無断でCと売買契約をしたが、Bがそれを知らないでDに売却して移転登記をした後でも、BがAの行為を追認すれば、DはCに所有権取得を対抗できなくなる。



正解 1

1 ○ 意思表示の効力が心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤、詐欺・強迫、善意・悪意、過失の有無などにより影響を受けるとき
は、その事実の有無は代理人について判断することになる。したがって本肢の場合には、契約が錯誤により無効となるか否か
は、代理人Aに重過失があるか否かで判断されることになる。

2 × 借金をすることを依頼された代理人が、その権限を越えて本人の土地の売買契約を締結したときは、相手方が土地売買
について代理権があると信じるにつき正当な事由がある場合には表見代理が成立し有効な代理行為があったことになり、本人B
と相手方Cとの間に売買契約が成立する。

3 × 代理人が行った有効な代理行為の法律効果は、すべて本人に帰属する。したがって本肢の場合、Aが有効な売買契約を
行えば、その契約は本人B自身が行った契約となる。この契約につき法定代理人の関与がない場合には、未成年者B又は法定代
理人は、契約を取り消すことができる。

4 × Aの無権代理行為は、本人Bの追認によって有効な代理行為となる。有効な代理行為は、本人自身が行った行為と考えれ
ばよいのだから、本肢の場合には、単純にBが二重譲渡をした場合と同視して考えればよい。したがって、CとDは対抗関係に立
ち、先に登記をしているDは、Cに所有権を対抗することができる。



【No.3】 売主A・異主B間の建物売買契約(所有権移転登記は行っていない。)が解除され、建物の所有者Aが、B居住の建物をCに売却して所有権移転登記をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1Aが、Bに対して建物をCのために占有することを指示し、Cがそれを承諾しただけでは、AがCに建物を引き渡したことにはならない。

2 Bが建物占有中に、地震によって玄関のドアが大破したので修繕し、その費用を負担した場合でも、BはCに対してその負担額の償還を請求することはできない。

3 Bは、占有中の建物の一部をDに使用させ賃料を受領した場合、その受領額をCに償還しなければならない。

4 Cが暴力によって、Bから建物の占有を奪った場合、BはCに占有回収の訴えを提起できるが、CはBに対抗できる所有権があるので占有回収の訴えについては敗訴することはない。


正解 3

1 × 本肢のような形の占有移転を指図による占有移転と呼ぶ。指図による占有移転は、譲渡人Aと譲受人Cの合意があれば成立し、占有代理人であるBの承諾は必要ではない(民法184条)。

2 × 占有者は、その善意悪意を問わず、必要費の償還を請求することができる(民法196条)。地震によって大破したドアの修繕費用は必要費と考えることができ、占有者Bは、回復者であるCに対してその償還を請求できるのである。

3 ○ AB間の売買契約が解除された後であれば、Bは悪意占有者である。悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、すでに消費し、過失によって毀損し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う(民法190条1項)。本肢の場合の賃料は法定果実に該当し、悪意占有者Bは、Cに償還する義務がある。

4 × 占有を基礎とする訴えを占有の訴えといい、所有権などの本権を基礎とする訴えを本権の訴えという。占有の訴えと本権の訴えは別個に取り扱われ、占有の訴えは本権に関する理由に基づいて裁判することはできない(民法202条2項)。したがって、Bが提起した占有回収の訴えについては、Cに所有権があることを理由として裁判することはできないのであるから、Cが敗訴することがないとはいえない。


【No.4】 Aは、自己所有の甲土地の一部につき、通行目的で、隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について別段の定めはない。)を、乙土地所有者Bと締結した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1この通行地役権の設定登記をしないまま、Aが、甲土地をCに譲渡し、所有権移転登記を経由した場合、Cは、通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかであり、かつ、通行地役権があることを知っていたときでも、Bに対して、常にこの通行地役権を否定することができる。

2 この通行地役権の設定登記を行った後、Bが、乙土地をDに譲渡し、乙土地の所有権移転登記を経由した場合、Dは、この通行地役権が自己に移転したことをAに対して主張できる。

3 Bは、この通行地役権を、乙土地と分離して、単独で第三者に売却することができる。

4 Bが、契約で認められた部分ではない甲土地の部分を、継続的かつ外形上認識できる形で、乙土地の通行の便益のために利用していた場合でも、契約で認められていない部分については、通行地役権を時効取得することばできない。



正解 2

1 × 本肢については判例がある。判例は、通行地役権の設定登記がなされていないときでも、承役地の譲渡の際に承役地が地役権者によって使用されていることが客観的に明らかであり、承役地の譲受人がそのことを認識していたか、又は認識することが可能であったときは、譲受人は特段の事情がない限り、地役権設定登記がないことを主張することについて正当な利益を有する第三者にはあたらないとしている(最判平10・2・13)。

2 ○ 地役権は要役地の従たる権利であり、要役地所有権が移転すれば地役権も移転する(民法281条1項)。地役権そのものの移転登記はなくても、要役地所有権の移転登記があれば、それだけで地役権の移転を第三者に対抗することができる。

3 × 地役権はあくまで要役地の便益のために存在するものであるから、要役地と分離して存在させても意味がない。そこで地役権は、要役地と分離して処分することはできないのである(民法281条2項)。

4 × 地役権も、継続的に行使され、かつ外形上認識することができるものであれば時効取得することができる(民法283条)。


【No・5】 Aは、Bから建物を兼備し、Bに3、000万円の敷金を預託した。その後、Aは、Bの承諾を得て、この敷金返還請求権につき、Cからの借入金債務を担保するために、Cのために適法に質権を設定した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1Cは、Bの承諾が書面によるものであれば、確定日付を得ていなくても、この質権設定を、B以外の第三者に対しても対抗することができる。

2 CのAに対する利息請求権は、常に満期となった最後の2年分についてのみ、この質権の被担保債権となる。

3 CのAに対する債権の弁済期の前に、この敷金返還請求権の弁済期が到来した場合は、Cは、Bに対し、当該敷金を供託するよう請求できる。

4 CのAに対する債権の弁済期が到来した場合、Cは、Bに対し、Bがこの質権設定を承諾したことを根拠に、この敷金返還請求権の弁済期の前に、当該敷金を直ちにCに交付するよう請求できる。



正解 3

1 × 債権者が特定し、債権の成立や譲渡につき証書の作成や交付を要しない債権を指名債権と呼ぶ。敷金返還請求権は指名債権であり、この権利に質権を設定すれば指名債権質となる。指名債権質の対抗要件は、一般の債権譲渡と同様である(民法364条1項、467条)。したがって本肢の場合には、第三者対抗要件としては、敷金返還債務の債務者である家主Bの承諾が確定日付を得ているものでなければならない。

2 × 質権によって担保される債権は、元本、利息、違約金、質権実行費用、質物保存費用、債務不履行や質物の隠れた瑕疵によって生じた損害賠償をも含むものである(民法346条)。抵当権と異なり、利息は満期となった最後の2年分に限定されていない。質権は要物契約であり、抵当権と異なり後順位の質権者が現れる可能性が少なく、被担保債権の範囲を満期となった最後の2年分に限定する必要性が少ないのである。なお、質権につき後順位の質権者が現れる可能性としては、動産質の設定につき指図による占有移転が行われた場合が考えられるが、現実には稀である。

3 ○ 債権質の質権者は、質権の目的である債権の弁済期が、質権者の有する債権の弁済期の前に到来したときは、第三債務者(本肢ではB)に対して、その弁済額を供託させることができる。そして質権は、その供託金の上に存在することとなる(民法366条3項)。

4 × 質権の目的である敷金返還請求権の弁済期が到来していない以上、質権の被担保債権の弁済期が到来しても、質権者は敷金の交付を請求することばできない。


【No.6】 A蛛、Bに対する貸付金債権の担保のために、当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し、その旨の登記をした。その後、Bはこの土地上に乙建物を築造し、自己所有とした。この場合民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1Aは、Bに対し、乙建物の築造行為は、甲土地に対するAの抵当権を侵害する行為であるとして、乙建物の収去を求めることができる。

2 Bが、甲土地及び乙建物の双方につき、Cのために抵当権を設定して、その旨の登記をした後(甲土地についてはAの後順位)、Aの抵当権が実行されるとき、乙建物のために法定地上権が成立する。

3 Bが、乙建物築造後、甲土地についてのみ、Dのために抵当権を設定して、その旨の登記をした場合(甲土地についてはAの後順位)、Aの抵当権及び被担保債権が存続している状態で、Dの抵当権が実行されるとき、乙建物のために法定地上権が成立する。

4 Aは、乙建物に抵当権を設定していなくても、甲土地とともに乙建物を競売することができるが、優先弁済権は甲土地の代金についてのみ行使できる。



正解 4

1 × 抵当権を設定しても、抵当権設定者は抵当目的物を自由に使用収益できる。これが抵当権の特徴の1つでもある。したがって本肢の場合には、設定者であるBに抵当目的土地の使用収益権がある以上、抵当権者であるAが、Bが築造した建物の収去を請求することはできない。

2 × 法定地上権が成立するためには、一番抵当権が設定された時点で土地上に建物が存在していなければならない。本肢のように一番抵当権設定当時に更地であれば、後順位抵当権設定時までに当該土地に建物が築造された場合でも法定地上権成立の要件は満たさないのである。

3 × 土地に対する先順位抵当権設定後、後順位抵当権の設定前に地上に建物が築造された場合、後順位抵当権の実行によっても法定地上権は成立しない(最判平2・1・Z2)。本肢の場合で考えると、一番抵当権者Aは、抵当権設定当時に更地として評価している。つまり、一番抵当権者Aは法定地上権の負担のないものとして土地の担保価値を把握しているはずである。その後に土地上に土地所有者の建物が築造され、さらに後順位抵当権が設定された場合に後順位抵当権の実行により法定地上権の成立を認めると、一番抵当権者Aが把握した担保価値を損なわせることになるからである。

4 ○ 本肢は一括競売に関する記述である。更地に抵当権が設定された後、抵当地上に建物が築造されたときは、抵当権者は土地とともに建物も競売にかけることができる。なお、抵当権は土地についてしか設定されていないのであるから、優先弁済権は土地の代価についてのみ主張できるにすぎない(民法389条)。つまり、建物の競売代価は設定者に返還されるのである。


【No.7】 AB間の土地売果実約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠併請求をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 賠償請求を受けたBは、自己の履行遅滞について、帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。

2 Bが、Aの過失を立証して、過失相殺の主張をしたとき、裁判所は損害額の算定にその過失を尉酌することができる。


3 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合でも、賠償額の減額をすることができない。

4 Aは、賠償請求に際して、Bの履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額の主張・立証をする必要はない。



正解 3

 本問は肢1について疑問点があるが、出題者の意図は肢3を正解としているように思われる。したがって一応正解3とする。

1 〇 履行遅滞が成立するためには債務者に帰責事由が存在していることが必要である。したがってこの点では、本肢のBは帰責事由のないことを主張立証すれば履行遅滞は成立しない。しかし、これには例外があり、金銭債務の不履行については不可抗力を抗弁とすることができない(民法419条Z項)。したがってBが買主である場合には、Bの債務は金銭債務である代金債務だから、履行期に履行しなければ、帰責事由の有無を問わず履行遅滞が成立し損害賠償義務を負うのである。問題文で「AB間の売買契約」とあるだけで、 AとBのどちらが売主で、どちらが買主か不明なので判断に迷うことになる。したがって一応○とした。

2 〇 損害賠償額の予定は、単に損害の発生とその額の立証を不要にする当事者の合意にすぎず、過失相殺を排除する趣旨ではないと解されている。したがって裁判所は、損害額の算定について、債権者側の過失を斟酌することができる(最判平6・4・21)。なお、本肢の文末の「斟酌することができる」について、民法418条は、過失相殺について「考慮して・‥…定める」と表現していることから疑問もある。民法418条は、斟酌につき裁判所の裁量を認めていないように読めるが、この点については、過失の認定自体が裁量的なものであり、また、不法行為に関する民法722条2項が「考慮して……定めることができる」と定めていることと比較して区別する理由はないことから、裁判所の裁量を認めるべきであると考えられている。したがって問題とはならないと考える。

3 × 当事者の合意よりも強行規定の方が優先するのは当然であるから、賠償額の予定の合意が暴利行為として公序良俗違反となる場合には、その予定自体が全部又は一部が無効となる(民法90条)。この場合には、裁判所は、賠償額の減額をすることができる。

4 〇 損害賠償額の予定は、損害の発生とその額の立証を不要にする当事者の合意であるから、履行遅滞の事実を証明すれば、損害の発生や損害の額を主張・立証する必要はない。



【No.8】 Aは、A所有の土地を、Bに対し、1億円で売却する契約を締結し、手付金として1、000万円を受領した。Aは、決済日において、登記及び引渡し等の自己の債務の履行を提供したが、Bが、土地の値下がりを理由に残代金を支払わなかったので、登記及び引渡しはしなかった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 Aは、この売買契約を解除せず、Bに対し、残代金の支払を請求し続けることができる。

2 Aは、この売買契約を解除するとともに、Bに対し、売買契約締結後解除されるまでの土地の値下がりによる損害を理由として、賠償請求できる。

3 Bが、AB間の売買契約締結後、この土地をCに転売する契約を締結していた場合で、Cがやはり土地の値下がりを理由としてBに代金の支払をしないとき、Bはこれを理由として、AB間の売買契約を解除することはできない。

4 Bが、AB間の売買契約締結後、この土地をCに転売する契約を締結していた場合、Aは、AB聞の売買契約を解除しても、Cのこの土地を取得する権利を害することばできない。



正解 4

1 〇 本問のBの行為は債務不履行に該当する。債務不履行があった場合の債権者は、必ずしも契約を解除する必要はなく、本来の債務の履行を請求し続けることも可能である。

2 〇 本問では手付金の交付が行われているが、解約手付の交付がある場合でも債務不履行があれば、債務不履行に基づいて債務者の責任を問うことができる。そしてこの場合には、損害賠償の請求をすることもできる。

3 ○ AB間の売買契約とBC間の売買契約はまったく別個の契約であり、Cの債務不履行を理由としてAB間の売買契約を解除することはできない。また理由が何であれ、相手方が履行に着手するまでは解約手付による解除は可能だが、本間ではAは、すでに履行に着手しており、Bは解約手付による解除もできない(民法557条)。

4 × Aは、Bの債務不履行を理由としてA B問の契約を解除することができる。ただし、この場合、解除による原状回復によって、第三者の権利を害することはできない(民法545条1項但書)。しかし、本条で第三者として保護されるためには、登記を得ていなければならない。本肢の場合、登記はAから移転していないのであるから、Cは、ここでいう第三者には該当しないのである。


【No.9】 Aが、Bに建物を売却し、代金受領と引換えに建物を引き渡した後に、Bがこの建物に隠れた瑕疵があることを発見したが、売主の瑕疵担保責任についての特約はない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 Bは、この瑕疵がAの責めに帰すべき事由により生じたものであることを証明した場合に限り、この堪症に基づき行使できる権利を主張できる。

2 Bは、この売買契約を解除できない場合でも、この瑕疵により受けた損害につき、Aに対し賠償請求できる。

3 Bが、Aに対し、この瑕疵に基づき行使できる権利は、Bが瑕疵を知った日から1年以内に行使しなければならない。

4 Bは、この瑕疵があるために、この売買契約を締結した目的を達することができない場合に限り、この売買契約を解除できる。



正解1

1 × 売主と買主の公平を期するためには、売主が引き渡す目的物は、代金に見合った価値のものであることが必要である。つまり売主は、代金に見合った目的物を引き渡すことを保証する義務がある。これが売主の担保責任である。したがって売主の担保責任は公平の原則から定められたものであり、売主である限り負担すべき義務であるから、売主に帰責事由が存在するか否かとは無関係に負わなければならない無過失責任である。本肢の買主Bは、Aの帰責事由の立証など要せずに、瑕疵担保責任を追及することができる。

2 ○ Bは善意無過失であっても、瑕疵により契約の目的を達成できない場合でなければ契約を解除できない。しかし、この場合でも損害賠償の請求はできる(民法570条、566条1項)。

3 ○ 瑕疵担保責任の除斥期間は、瑕疵を発見した時から1年間とされている(民法570条、566条3項)。

4 ○ 瑕疵担保責任によって契約を解除することができるのは、瑕疵があるために契約をした目的を達成できない場合に限られている。その他の場合には損害賠償請求しか認められない(民法570条、566条1項)。


【No.10】Aが、A所有の不動産の亮異をBに対して重任する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、A及びBは宅地建物取引業看ではないものとする。

1 不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には、AはBに対して委任状を交付しないと、委任契約は成立しない。

2 Bは、委任契約をする際、有償の合意をしない限り、報酬の請求をすることができないが、委任事務のために使った費用とその利息は、Aに請求することができる。

3 Bが当該物件の価格の調査など善良なる管理者の注意義務を怠ったため、不動産売買についてAに損害が生じたとしても、報酬の合意をしていない以上、AはBに対して賠償の請求をすることができない。

4 委任はいつでも解除することができるから、有償の合意があり、売買契約成立寸前にAが理由なく解除してBに不利益を与えたときでも、BはAに対して損害賠償を請求することばできない。



正解 2

1 × 委任契約は諾成契約であり、当事者の意思が合致するだけで成立する。また、特別な要式は必要とされず、委任状や委任契約書の作成も契約の成立要件ではない。したがって、高価な財産の売買であるか否かとは関係なく、意思の合致だけで成立する。

2 ○ 委任契約は原則として無償の契約である。これは他人から委任を受けることは名誉なことであり、名誉と報酬は無縁であるという歴史的な由来による。したがって特約で有償としない限り、受任者に報酬請求権はない。しかし、委任事務の費用及びその利息については委任者に請求することができる(民法648条1項、650条1項)。

3 × 受任者は、報酬の有無とは無関係に善良な管理者の注意義務を負う(民法644条)。この義務に違反した場合には債務不履行となり、損害があれば損害賠償義務を負うことになる(同415 条)。

4 × 委任契約は当事者の信頼関係が基礎にある。したがって信頼関係がなくなれば、契約を維持しておくことはできない。この意味で、いつでも委任者からも受任者からも契約を解除できる。しかし、解除によって相手方に不利益を与えた場合には、その損害を賠償しなければならないのである(民法651条1項、2項)。